ABOUT RED
CEDAR
ウエスタンレッドシダーの魅力
美しさに秘められた個性
私たちが扱うウエスタンレッドシダーの多くは、北米大陸の太平洋側に位置するカナダのブリティッシュコロンビア州に生息するウエスタンレッドシダーです。夏は乾期、冬は雨季という自然環境にある同州沿岸部の森で育った天然木は、その気候と土、水、風によって長い年月をかけてゆっくりと成長しています。
年輪のあるがままの美しさはどんな装飾とも比較できない風合です。まさに、自然がゆっくりと描いてきた唯一無二のアート作品ともいえるでしょう。自然志向の高まりやシンプルなライフスタイルを追い求める方々が増えた昨今、ウエスタンレッドシダーの美しさに秘められた個性が、内外装の世界に新たな価値を生み出しつつあります。
しかしながら、ウエスタンレッドシダーは決して万能選手ではありません。その個性をご理解いただき、適材適所で活かしていただくことがベストであると考えます。
そして、私たちがウエスタンレッドシダーの魅力を多くの方々に知っていただきたい理由は、自然とのバランスに優れた素材であるということです。樹木が二酸化炭素を吸収することは誰もが知るところですが、高樹齢なウエスタンレッドシダーはそれだけ地球上の二酸化炭素を長年に渡ってとじこめていることになります。さらに、高耐久ゆえにリサイクルを繰り返すなどすれば、その二酸化炭素をそのまま蓄積しておくことができます。
少しでも地球環境にローインパクトに生活をしていきたい。そう願う方々と共に歩むことが私たちの願いです。
ウエスタンレッドシダーとは
- 樹 種 :
- ヒノキ科ネズコ属(クロベ属)
- 原産地 :
- カナダ ブリティッシュ・コロンビア州(一部アラスカ南東部を含む)
ウエスタンレッドシダーは、日本の木曽五木の一つであるネズコ(クロベ)と同類で、ヒノキの仲間。ヒノキ科特有の芳香をもち、肌ざわりが柔らかく温かみのある木です。木目が日本の杉(高樹齢)に似ているため、商業的には「ベイスギ」と呼ばれることがあります。
ウエスタンレッドシダーは北米の先住民族に「生命の木」と謳われた木材です。信仰の対象であるトーテムポール、さらにカヌーや住居の材料として古くから使用されてきました。人工の素材にはない質感とぬくもり、そして独特のさわやかな香りが特徴です。さらに時を経るうちに、表情に深みが生まれます。天然の成分により、腐朽や虫害に強く、雨や日射しにさらされる屋外において、すぐれた耐久性と寸法安定性を発揮します。
自然が与えてくれた建材としての魅力
ウエスタンレッドシダーの詰んだ木目、これは長い年月をかけてゆっくりと成長してきた証です。耐久性から断熱性、加工のしやすさ、そして外観品質にいたるまで、建材に相応しい特性をいくつも備えています。
天然の耐久性。腐りにくく、虫害に強い。
心材(辺材を除く樹幹部分)に多く含まれる天然の抽出成分、ツヤプリシン(thujaplicins)やツヤ酸(thujic acid)が抗菌力をもっているため、自然の力で腐朽菌や害虫の侵入を防ぐ効果が極めて高い木材です。
高い寸法安定性。針葉樹の中でもトップクラス。
吸湿しにくい性質をもち、湿度が変化しても寸法の変動が小さい(収縮率が低い)ため、濡れたり乾いたりを繰り返しても、反り、曲がり、割れが起きにくい性質を備えています。
加工、施工が容易。密度が低いため軽量。
全乾燥比重0.35、気乾比重0.37と密度が低く荷重を少なくできるので、外壁やカーポート上のデッキ、屋上緑化に使用する木材としても最適。のこ、かんな、サンダーなど、いずれの加工でも美しく仕上がり、釘打ちも容易です。
色の美しさ。木目が細やかで温かみのある色合い。
バリエーションに富んだ色相をもち、製材すると、麦わら色からピンクがかった色、赤褐色から濃褐色まで、異なる色合いの板になります。その色の濃淡を生かすことで、自然の風合が美しい内装材・外装材となります。
自由度のある塗装仕上げ。さまざまな塗料に対応。
樹脂(ヤニ)を含まず木肌がきめ細かいことに加えて、辺材の割合の少なさ、寸法安定性の高さなどの特性から、仕上がりがきれいで塗料の保持性にも優れています。
保湿性と断熱性。内装材にも好適。
低密度で空気を多く含むため、レンガ、コンクリート、鉄、さらには他の針葉樹に比べ優れた断熱性を発揮。内装材として用いることで夏は涼しく、冬は暖かな室内環境をつくります。
やすらぎと環境共生の建築をめざして
木材はCO2の貯金箱
自然環境の保護は、社会のみならず個人一人ひとりの問題として取り組んで行かなければならないところまで来ています。そうした中、近年、建築において積極的に「木を使う」ことが見直されています。森林を守ることだけが環境破壊を防ぐ方法ではありません。適切な伐採と植林により、大気の浄化や温暖化防止の効果が高まり、さらに伐採された木を使って住宅を建てることは「都会に森をつくる」ことと同じだと言われています。
木は「光合成」によって空気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を放出していますが、吸収された二酸化炭素は、木の内部に炭素の状態で固定化されます。木は伐採後、「木材」として加工され、さらに住宅や家具などに利用されてからも、炭素を蓄えておくことができ、燃えるなどして酸素と結合するまで、固定化された炭素が空気中に放出されることはありません。まさに「木材はCO2の貯金箱」というわけです。伐採と植林のサイクルを守ると同時に、木材を使った建築を増やし、大切に長く使い続けることは、地球温暖化の防止に貢献します。
カナダの森から日本へ
豊かな森林資源を守るカナダ・ブリティッシュコロンビア州
カナダは世界の約10%という広大な森林を有する国です。カナダの森林は94%が公有林(州有林及び国有林)で、国民の貴重な財産として政府が国民に代わって管理しています。ウエスタンレッドシダーの主な産地は、カナダの中でも唯一太平洋に面し、日本への玄関口としての役割を果たしてきたBC(ブリティッシュコロンビア)州。壮大な針葉樹林帯が広がるBC州は、州の約3分の2が森林で占められ、その森林面積は日本の国土の1.5倍にあたる5,500万haにも及びます。ウエスタンレッドシダーは、この豊かなBC州の森林で育まれ、州の木に制定されるほど大切にされています。
BC州では貴重な森林資源を守りながら活用するために、独自に制定した法律によって厳しい森林施業規制が行われています。州政府の認証を経て森林伐採権を取得した林産会社のみが州有林の伐採を認められており、年間の伐採量は全森林面積のわずか0.3%にすぎません。伐採後はその土地の生態系に則した自生樹種による森林再生が行われ、1本の伐採に対して3本の苗木を植栽するという方針のもとに毎年2億本の植林が行われています。
世界をリードするカナダの持続可能な森林管理
2030年までに達成すべき目標として国連が掲げた「持続可能な開発目標(SDGs)」には、森林の持続可能な管理が目標の一つとして掲げられています。世界有数の森林大国としての責任を果たすべく、カナダは早くからこの課題に取り組んできました。州ごとに制定した森林管理に関する法律で規制を強化し、公有林の利用・管理を任された林産業界はその姿勢を証明するため森林認証の取得を進めてきました。これらの取り組みによってカナダの認証林面積は世界最大となり、カナダ国内の伐採による森林減少率は過去20年以上にわたってほぼゼロとなっています。
持続可能な森林管理が行われていることを中立の第三者機関によって証明する仕組みが森林認証です。代表的な森林認証制度としては、PEFC(森林認証制度相互承認プログラム)とFSC(森林管理協議会)があります。PEFCは日本を含めた各国独自の森林認証を世界共通の基準で審査し相互承認する制度で、カナダではPEFCに承認されたSFI(持続可能な森林イニシアティブ)とCSA(カナダ規格協会)の2つの森林認証が利用されています。一方FSCも高い評価を受ける国際的な森林認証制度です。カナダの認証林は、PEFCでは全体の42%、FSCでは全体の24%を占めています。(2019年)
森林管理の国カナダのメーカーとのつながり
私たちがお届けするウエスタンレッドシダーは、適切に管理された持続可能なBC州の森林で育った上質の木材です。ウエスタンレッドシダー製品を生産するカナダ林産企業は、それぞれの森林認証制度による認証林から産出された認証材であることが追跡できるCoC認証を取得しており、違法伐採を排した合法性が証明されています。このような信頼できるカナダ林産会社と弊社はウエスタンレッドシダー販売当初から長年の取引実績があります。日本向け製品の開発や品質に関するアドバイスを行うなどの対話を重ね、安定的な供給と品質の向上を目指しています。