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レッドシダーが映える 物件紹介レポートVol.6 「木造の家を主張する木の外装。街並みと優しく調和するデザイン」

物件訪問レポートの第6回目は、「西之谷の住宅 kigi」 をご紹介します。

こちらの住宅は、建築家であるハラダデザイン 原田一朗さんのご自宅。もちろん原田さんご自身による設計です。

→ハラダデザインさんのウェブサイト

「西之谷の住宅 kigi」は、昭和の雰囲気を色濃く残す路地の奥に建っています。竣工時の写真からは、路地の雰囲気を感じることができます。

(photo by Jin Hosoya)

高台から周囲を見下ろすと、周辺は小さな木造住宅がびっしりと建ち並んでいる場所であることがわかります。こうした密集した環境で、隣家とのプライバシーに配慮しつつ、風と光にあふれた開放的な住まいを作ることが主題だったそうです。

(photo by Jin Hosoya)

取材に伺ったのは、竣工から1年半が経過した、2012年5月の晴れた日の午後。路地の奥に入っていくと、木の外装が印象的な四角い建物が現れました。

ご挨拶もそこそこに、まずは外観の写真を撮影させていただきました。

外壁には、レッドシダー 本実サイディング クリアー TG-1776 が使われています。

また、時とともに木材がグレーに変化する自然のエイジングによって、街並みに建物が溶け込んでいくことをイメージして、塗装には、ドイツ リボス社の自然健康塗料、カルデット(クリアー色)を使用したそうです。あえて濃い色のオイルステインを選択せず、木材自体の色や表情を大切にすることを考えた仕上げです。

確かに形はとてもシンプルでスタイリッシュなのですが、デザインの奇抜さが際立ってしまうようなことがありません。街並みに自然になじんでいるなぁと感じました。一枚一枚同じものがない、無垢の木材ならではの素材感と、住宅街の持つ雰囲気との相性がいいのですね。

さらにもう一点、サイディングを張った面を見て気がついたことがありました。

本実サイディングは、通常は乱尺で(様々な長さのパネルを混在させ)出荷されており、長いものだけで注文することができません。「kigi」の、路地に面した外壁は、長尺の材料できれいに揃えて張られていました。

原田さんのお話では、サイディングの使用面積は120m2程度。やはりいろいろな長さがランダムに納品されたため、全体の中から長めの材料を選り分けて路地に面した外壁に使い、短めの材料は見えない部分に使用するという工夫をしているのだそうです。

使い方を工夫することで、建物の見え方や雰囲気は変わってくるのだな…と感心しきりです。また、縦のラインがすっきりとしていて、様々な色合いが混在するレッドシダー特有の色の濃淡も、自然な印象です。原田さんの狙いは、「なるべく単純な木箱」にすること。狙い通り、周囲から浮かないシンプルな外観と、木材の持つ優しい風合いとが合わさった素敵な「箱」に見えました。

玄関の扉にもレッドシダーが張られています。これも建物が木箱の様に見えるように考えてのデザインだとのこと。ガラスのひさしの下は竣工当時のまま。その右側の外壁は少しずつグレー色に変化してきていることがわかります。

ご自宅の中に案内していただきました。

「kigi」は、1階が事務所とダイニングスペース。2階がご家族のプライベートスペースになっています。入り口を入るとすぐに2階への階段があります。やわらかな光が射し込んでいます。

この光は、ポリカーボネート板を通して入ってきます。このポリカーボネート板は中が空洞になっているので、断熱にも効果的とのことでした。

1階から2階を見るとこのようなつくりになっています。光にふわっと包まれているような感じがします。L型に設けた吹き抜けは、風や光の通り道となっています。

吹き抜けに面した手すりは棚になっています。棚の上には娘さんが描いたかわいらしい絵が。

2階の棚や床・壁・天井はすべてロシアン・バーチ(シラカバ)合板。

建築設計の仕事だけではなく、「ものづくり」を大切にしている原田さん。 ものをつくる過程で出会った職人さんや工場とのつながりが、住宅の設計にも生かされているそうです。

室内で使われているアクリルの椅子は、以前原田さんがプラスティックの加工工場と商品化したもの。手すりの背板にも、エアコンの冷気を下階に逃がさないよう、アクリル板がはめこまれています。

「kigi」で使われているアクリルは、原田さんのものづくりの経験から生まれたアイディアなのですね。

原田さんは、独立した際、屋号を「○○設計事務所」ではなく、「ハラダデザイン」としました。そこには、建築、家具、プロダクト等、その時々の具体的な事物のデザインを通じ、人の生活環境を丹念に掘下げていこうという想いが込められているそうです。

さらに1階でいろいろなお話を伺いました。横長の窓から風が通り抜け、とても気持ちが良い空間です。

木の外壁を選択した経緯について伺うと、原田さんは次のように話してくださいました。

 「周囲は古くからの住宅地です。近所にはこの街に三代暮らしている方もいらっしゃり、僕ら家族はその中に新参者として入っていくわけですから、どうすれば建物が周囲と調和するかをまず考えました。
 しかし、準防火地域で木造の建物に使える外壁の材料は、窯業系のサイディング、金属板、モルタルなどが主流であまり選択肢がありません。こうした人工的な素材で外装を仕上げてしまうと、新しく建てる住まいが周囲から浮いてしまうと感じました。そこで、いろいろ調べ、下地に耐火性のあるボードを張ることで、仕上げには通常の無垢の木材を張ることができる工法が見つかり、木をつかうのはおもしろい!と直感しました。
 建物自体が木造なのですから外壁に木を使うのは自然なことだし、せっかく木を使うなら、アクセントとして部分的に使うのではなく、外壁すべてを木で覆うほうが潔いなとも感じました。木の外壁は、エイジング(経年変化)によって次第にグレー色に変わっていきますから、時間とともに段々と建物が周囲の街並みに埋もれていく様子が思い浮かんできました。
 こうして、木材を外壁に使うことを決心しましたが、実際の木材の経年変化や風雨に耐える為のディティールは、レッドシダーや杉材が外壁に使われた古い住宅を見てまわり参考にしています。昔は新建材がさほど普及していなかったので、塩害や風雨にさらされる逗子や葉山の海沿いにはレッドシダー張の建物がいくつか残っています。
 外装にここまで大々的に木材を使うのは初めての経験でしたが、今回は自分達の住まいなので、ある意味で身銭を切った実験だと考え、今回の工夫の長所や短所を暮らしながらチェックしたり、今後のメンテナンスから得る経験を生かし、お客様にはさらによい提案をしていきたいと思っています。」

原田さんの「まずは自分で経験してみる」という姿勢に、とても共感しました。メンテナンスのポイントも、実例をもとにお客様に説明できるので説得力も増しますね。

「kigi」には原田さんのさまざまなアイディアがちりばめられています。

下の写真のように、井桁に組まれた胴縁もそのひとつ。軒がない家なので、どうしたら通気が良くなるかを考えたそう。縦張りのサイディングには、通常は横胴縁が一般的ですが、こうすることでさらに通気が良くなります。

住み始めて1年半の間にわかってきた反省点も教えていただきました。木材の伸縮を見越して、前もってサッシとサイディングとの間に隙間をあけて施工したものの、その間隔が狭かったため、時の経過とともに隙間がなくなり、サッシとサイディングがくっついてしまったそうです。そのため水切れが悪くなり、接するところには少しカビが発生してしまっていました。

でも、「これも勉強だと思っています。ありのままを紹介していいですよ!」と前向きな原田さん。その姿勢がすばらしいです。今後木の外装をお客様に提案する場合には、この経験をもとに、さらに水切れのよい方法を考え、実践してくださると思います。

レッドシダーサイディングは、木そのものに含まれる成分により、腐りにくい特性を持ってはいますが、無垢の木材であることに変わりはありません。水切れが悪く、木材に水分が留まった状態が続いてしまうと、カビが生えたり腐ったりしてしまいます。それを防ぐためには、木材の特性を知った上での適切な施工と、定期的なメンテナンスが大切になってきます。

私たち高広木材でも、実際に社屋にレッドシダーサイディングを張り、経年変化を実験しています。(2012年6月現在、竣工から15年経過しています。社屋は随時見学可能です。失敗例も含めありのままを見ていただけます!)お話を通じ、自ら経験したことをもとに、お客様に適切な提案をしていきたいと考えている原田さんとの共通点を感じ、とてもうれしく思いました。

最後になりますが、「西之谷の住宅 kigi」は、日本木材青壮年団体連合会主催による、第15回木材活用コンクールにおいて、木材活用特別賞を受賞されたそうです。このコンクールでは、木材の利用を通じ、使い手が素敵と感じる「豊かなくらし」、自然と人と社会が共存できるサステナブルな「豊かな社会」の実現を目指したものを表彰しています。
→第15回木材活用コンクールの結果はこちら

私たち高広木材も、レッドシダーの適切な利用方法について情報発信をしていくことで、今回の住宅のような事例を増やし、快適で豊かなくらしを実現するお手伝いをしたいと考えています。取材のご協力、本当にありがとうございました。
→「西之谷の住宅 kigi」 の詳細は、こちらでもご覧いただけます。

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