木製サイディングは傷んだ部分のみを張り替えることが可能

記事の第1回目は、高広木材社屋外壁の補修工事レポートです!

高広木材の社屋には、取扱製品であるレッドシダーの各種外壁材が張られています。 2011年6月に、竣工後14年で初めて木材保護塗料の塗り直しと部分補修を行いました。 メンテナンスを実践することで、いろいろとわかったことがあります。 レッドシダーの耐久性は実際どうなのか?メンテナンスのポイントは? そんな疑問にわかりやすくお答えするべく、なるべくありのままをお見せしたいと思います。

竣工後14年が経過したレッドシダーの外壁 ビフォー写真

まずは、メンテナンス前の社屋外壁写真から。

レッドシダー 本実サイディングを張った面です。14年塗り直しをしていないので、 部分的に塗料がはげています。また、雨による色ムラも出てきています。 ですが、ここまで放置してしまっていても、木自体が腐ったりはしていません。

下の写真は、竣工時の写真です。レッドシダー本実サイディングのラフ面に、浸透性タイプの木材保護塗料をたっぷり染み込ませ、2回塗りしています。(当時は油性でしたが、現在の塗料は水性に変わっています) ケズリ面とラフ面では、ラフ面に塗る方が塗料を多く使用しますが、そのぶん撥水効果が長持ちするため、 メンテナンスのサイクルを長くすることができます。 まずは施工時、しっかりと木材に塗料を含浸させることと、適切なサイクルで塗り直しを行うことが 木製外壁材を長持ちさせるポイントと言えます。

さねにもしっかりオイルステインを塗るのがポイント

それでは、14年経過した外壁をさらにズームして見てみましょう。

木と木の接合部は、一部反りが激しく、浮き上がってきています。こういった部分だけ、張り替えます。 本実サイディングでは、最初に実(さね)の部分にもしっかり木材保護塗料を塗るのがポイント! 時間の経過とともに、木が縮むため、板と板の間の隙間が大きくなってきます。(※注1) さねに色を塗っていないと、写真のように隙間の白がだんだんと目立ってきてしまいます。

(※注1)新築時に施工した本実サイディングは、当時、雄実(さねの出っ張り部分)の長さが5~6ミリでした。その後、高広木材では、雄実の長さが長いタイプをメーカーに発注しています。 そのため現在扱っている製品は、収縮により材と材の隙間があくことによる影響を受けにくくなっています

足場を組んで、作業開始!

シートをかけて…

傷みが激しい部分のみはがします。

新しい板を張ります。つなぎ目はこのような感じになります。

木の質感のおかげで、部分的な張り替えも違和感なく味わいに

最後に全体を塗装して仕上げたアフター写真。美しさがよみがえりました。

レッドシダーの外壁 塗装メンテナンスアフター

新しく張り替えた部分と、残した部分とで若干色が違っていますが、不思議と味わいを感じませんか?

レッドシダーサイディングは、このように部分補修が可能です。適切にメンテナンスをすれば、外観の味わい深さが増し、長く魅力を保ちます。

美しさを長持ちさせる最適なメンテナンスサイクルとは?

7~8年に一度の再塗装がおすすめ

ここで、木製の外壁は、メンテナンスが大変なのでは?という疑問にお答えしたいと思います。

レッドシダーは、天然の抽出成分の働きにより、腐りにくい木材です。 また、濡れたり乾いたりを繰り返しても、寸法の安定性に優れているため、 反りや曲がりが他の樹種に比べて起こりにくいことも利点のひとつ。 さらに軽量で扱いやすいという点も含め、レッドシダーは外壁材に非常に適した材料であると言えます。

これらの素晴らしい性能を持つレッドシダーサイディングは、他の樹種の外壁材よりもメンテナンスの間隔を長くできます。 しかしながら、何もしなければ14年経った弊社外壁のように、板が反ったり浮き上がったり、ヒビ割れが起こったりします。 14年は少しほったらかし過ぎてしまったと反省。

では、経験上の最適なメンテナンスサイクルとは? 高広木材では、ラフ面を表に張った場合は、7~8年に一度の再塗装をおすすめしています。 (ケズリ面を表に張った場合は、さらにこまめな塗装が必要になります。)

再塗装の期間を短くしたほうがよいケースは?

しかしながら、再塗装の期間を短くしたほうがよいケースもあります。

外壁材の大敵は、真夏の熱射です。 今回一番傷みがひどかったのは、西側の西日が激しく当たる面。 二番目に影響が大きかったのは、南側の面でした。

下の写真は、倉庫西側の写真です。

ベベルサイディングという横張りの板を張っていますが、かなり反ってしまい、釘が浮き上がってきています。 過酷な環境下では(※注2)、14年でこのようになってしまいましたが、 真夏の熱射の影響を受けやすい部分に張る場合は、塗り直しの期間を短くしてまめに塗料を塗ることで、 かなり劣化を遅らせることができます。

板の浮き上がりを防ぐためには、釘の選択も大切です。 ベベルサイディングとチャネルサイディングの釘は、平頭で釘頭が光りにくい、頭部に型押し(網目等)した釘で、 スパイラル(スクリュウ)釘・リング釘等の抜けにくい釘を使うことがポイントです。

(※注2)上の写真は倉庫の外壁ですが、スチールサイディングの上にレッドシダーサイディングを張っています。 西側にさえぎるものがなく、真夏の熱射を14年まともに受けていました。 さらに下地のスチールサイディングもかなり高温になってしまっていたため、 熱射の影響が合板下地の場合より大きかったと考えられます。 通常の合板下地の場合同じ西側の面でも上の写真のような激しい反りは起こっていませんでした。

合板下地に張った、レッドシダーベベルサイディング 西側の写真(14年経過)

なんと、同じベベルサイディングを張っているのに、直射日光があたらない北側の面は下の画像のようにきれいなまま! この面も、スチールサイディングの上に張っていますが、西側とかなりの違いが出ていますね。この北側の面は、板の張り替えはほとんどなく、塗り直しだけで済んでいます。

塗り直し後。14年振りに塗ったのですが、ほとんど変わりないですね。

よく見ると、一部板を取り替えているのですが、わかりますか?

時が経つほど味わい深くなっていく

レッドシダーの外壁は、時が経つほどに味わい深くなっていきます。 メンテナンスも難しいことはありません。板一枚一枚は軽量なので、部分補修も容易です。 また、廃棄にかかるエネルギーが少なくすむのが木材の利点でもあります。

この1度目のメンテナンスからさらに月日が経過し、高広木材社屋は2022年、竣工から25年が経過しています。その間に2度目の再塗装、張り替え工事を行い、現在に至ります。

ぜひ築25年以上になる、実際の社屋外壁の様子を見にいらしてください! 施工やメンテナンスのポイントなどご説明いたします。

下の画像:2回のメンテナンス後 2021年8月撮影

築25年以上のレッドシダー外壁

REPORT 02

無垢のレッドシダーを適材適所に使いこなした、オンリーワンの家づくりを学ぶ